2023年はもうじき終わりますが、今年ほど音楽に携わっている人がお亡くなりなるのは珍しいと思います。1月に誤嚥性肺炎で亡くなれた高橋幸宏さんをはじめ、シーナ&ロケッツの鮎川誠さん、3月には元YMOの坂本龍一さん、頭脳警察のPANTAさん、作曲家の外山雄三さん、アリスのリーダーだった谷村新司さん、ダンシング・オールナイトの大ヒットで知られるもんたよしのりさん、クレージー・キャッツの犬塚弘さんなどなど。
「超」が付くほど一流の音楽家たちの訃報には驚きとともに悲しみは隠しきれませんが、彼ら・彼女らが作った作品群はこれからも時代を超えて継承され、愛されていくことだと思います。
さて今回取り上げるのはYMOのデビューアルバムとなったYellow Magic Orchestraです。今年はその元メンバーである高橋さん、坂本さんがお亡くなり、細野晴臣さんのみがご存命です。高橋さん、坂本さんの追悼の意味を込めて今回の記事を書いてみようと思いました。
Yellow Magic Orchestraは1978年11月にアルファレコードからリリースされたYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のデビューアルバムです。YMOは同年に細野さん、高橋さん、坂本さんで結成された日本のテクノポップの先駆けとなった音楽グループで、シンセサイザーやコンピュータを駆使した斬新な音楽として、当時の若者を中心として、絶大な支持を得ました。
またかれらの活動は音楽のみならず、ファッションやエンタメにも大きな影響を残し、特にテクノカットはYMOもメンバーがやっていたこともあり、1980年代に流行しました。
YMOは私の青春期に最も影響を受けたバンドでした。学生時代はそれこそ毎日のようにYMOの楽曲を聞いていました。YMOは曲はもちろんのこと、とにかく仕草やファッションがカッコいいいですね!!
特にメンバーがライブなど着ていた「赤い人民服」、高橋さんがデザインして、元々は「人民服」とは関係なく、あとで知ったのですが明治時代のスキー服だったようですが、当時はそんなこととは露知らず、「人民服」を求めて渋谷にあった「大中」に買いに行ったことを覚えています。
中学・高校時代の私は日本のロックの中で加藤和彦さんと細野晴臣さんの2人が好きで、それは2人が持つ豊かな音楽性に関心が高く、2人の活動や軌跡に注目し、2人の出すアルバムは少ない小遣いで購入するか、数少ない友人からレコードを借りてダビングしたりしており、2人の作品はほとんど網羅していました。
そんな細野さんが高橋さん、坂本さんと新たな音楽ユニットYMOを結成するという情報は私を歓喜させるものでしたし、それは暗い高校生生活を送っていた私に一筋の光明(ちょっとオーバーですが)を与えるものでした。
このアルバムYellow Magic Orchestraは楽曲もさることながら、アルバムのデザインもシュールなものです。サングラスをかけた和服の女性の頭から電線が伸びている構図は、コンピューターサウンドの到来を象徴するもので、新たな音楽の登場に期待に胸を驚かせていたよう、当時はワクワクした気分でした。
Yellow Magic Orchestraのレコーディングには件の3人の他にシンセサイザー・プログラマーで「第4のYMO」と呼ばれた松武秀樹さんや元サディスティック・ミカ・バンド時代の高橋さんの同僚で日本を代表とするギタリストの高中正義さんらが参加しており、エキゾチックサウンドとエレクトリックなディスコサウンドが融合された画期的な作品となっています。
Yellow Magic Orchestraではゲームセンターのコンピューターゲームのテーマソングから作品がスタートしており、その奇抜なアイデアと無機質な機械サウンド、当時高校1年生だった私はその斬新さに驚嘆しました。
このアルバムに収められている「東風」「中国女」「マッドピエロ」はフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールの映画のタイトルから付けられています。ちなみに私は「中国女」「マッドピエロ(邦題は「狂ったピエロ」)を後にスカパーで観ましたが、内容が難解すぎて、全く理解できませんでした。
Yellow Magic Orchestraの中で私は先程の「東風」と「中国女」が特に好きです。「東風」は坂本さんが作曲したインストルメンタル。吉田美奈子さんが歌っているものもあるようです。この曲は坂本さんが北京交響楽団をイメージしたもののようで、1970年代後半当時のこれから発展していく中国の躍動感にも似たサウンドが印象的でした。
「中国女」は高橋さんが作曲、この曲には高橋さんのボーカルもあり、詞を書いたのはイギリス出身の詩人クリス・モズデルさん。タイトルと相反するように西洋的な曲調と途中に入っているフランス語のセリフは私の中ではインパクトが絶大でした。この曲の高橋さんのボーカルを聴いた細野さんがYMOのメインボーカルを高橋さんにすることを決め、それがのちのYMOも大ヒット曲「君に、胸キュン。」に繋がったのかと思います。
前の記事で高橋さんのアルバム「音楽殺人」を全く古さを感じさせないと書きましたが、このYellow Magic Orchestraも同様です。躍動感や斬新さにおいては今の音楽よりも一歩抜きんでいるような気がします。このような素晴らしい作品を手掛けた高橋さんや坂本さんがお亡くなりになったことは、日本の音楽界に取って大きな損失であると同時にもうお2人の作品が聴くことが出来なくなったことに対して寂しさを禁じえません。
参照:Wikipedia イエロー・マジック・オーケストラ、テクノポップ、テクノカット、
イエロー・マジック・オーケストラ(アルバム)、東風、中国女
お恥ずかしい文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
ランキングに参加しています。クリックして応援していただけたらうれしいです!